こんにちは。葉加瀬アカデミー専属バイオリニストのAyaです。
弓の毛や弦や松脂。バイオリンの消耗品の寿命はどの程度なのか、いつ・どれくらいの頻度で替えるべきか、迷う方もいらっしゃるのではないでしょうか?
今回は「松脂」について、替え時のサインや見分け方などを考えていきたいと思います。
♪松脂の役割
松脂は松の木の幹から取れる樹脂を固めたもので、バイオリン演奏には欠かせないものとなっています。弓に塗ることで、滑らないようにする役割を持っています。バイオリンは弓で弦を擦り摩擦で音を出します。毛に松脂を塗らないと滑ってしまい音が鳴りません。松脂を塗ることで摩擦力が出てきて綺麗な音を出すことができます。
♪松脂の選び方
松脂は粒子の細かさや硬さ、柔らかさによって弾き心地・発音に多少の変化が出てきます。色によっても区別があります。また松脂によって軽い音色や澄んだ音色がするものなど様々です。
①黒色(ダーク)
松脂に粘度が加えられており柔らかいため、「粉がつきやすい・塗りやすい・弾き始めに引っかかりやすい」という特徴があるので初心者の方におすすめです。よく粉がつくので付けすぎには要注意です。
(例)ギヨーム、ミラン/黒猫ダーク
②茶色(ライト)
茶色もしくはオレンジ色に近い茶色をしていて、サラサラとしています。夏場でもさらっとしていて溶けにくく、音に軽さがあります。
(例)ベルナルデル、缶入りのアルシェ
♪おすすめの3つの松脂
①ミラン/黒猫ダーク
楽器店で売られている初心者用セットに付いていることが多いように思います。音の立ち上がりがとても良いので初心者の方に特におすすめの松脂です。
②ベルナルデル
この松脂は私も愛用している(ヴィオラ)松脂です。サラッとした弾き心地や発音がするため、初心者の方からプロまで幅広く使われています。湿気のある時期でも割とサラッとした音が出やすいです。
「松脂を新しくしてみたい」「音色の追求をしていきたい」という方にオススメします。
③アルシェ(品番:101)
「アルシェ」は、初心者からプロまで幅広く使われている弓のメーカーですが、松脂も販売しています。弓がアルシェの方にはぜひお試しいただきたいです。個人的に私も愛用しています(バイオリン)が、同じメーカー同士だからなのか、弾き始めが自然で引っかかりがいいと感じます。
アルシェにはたくさんの種類の松脂がありますが、品番:101は定番と言われている松脂になります。
♪松脂の適量
松脂はどの位塗ったら良いのか分からないという声をよく聞きます。
松脂を塗り過ぎるとザラザラした音が鳴ってしまう上に、指板や弦が松脂の粉で白くなってしまいますので、弓の状態にもよりますが大体2〜3往復塗ると良いです。個人的にはゴシゴシ塗ってしまうとムラができてしまうので、ゆっくりと2〜3往復塗るイメージです。
毛替えしたての場合は、松脂を塗らないと音が全く出ません。毛替えしたての時は30往復くらい塗ると馴染んできます。
♪松脂が足りない時
松脂を塗り過ぎたケースは上記で紹介しました。では、逆に松脂が足りない時はどんなサインがあるのでしょうか?
①指板の方に弓が滑ってしまう時は松脂が足りないかもしれません。その場合は松脂を塗れば解決します。
②松脂が新しい場合、まだ表面がツルツルです。その状態で毛替えしたての弓に塗ってもなかなか塗りきれませんので、その場合は馴染むまで塗ることで解決します。私も経験がありますが、毛も松脂もツルツルで滑ってしまい塗るのに時間がかかった覚えがあります。
♪松脂の寿命
松脂は弦などと違って頻繁に替えるものではありません。基本的には松脂自体に問題がなければずっとお使いいただけます。
私はバイオリンの松脂を7〜8年使っていますが特に問題はありません。
松脂は落としてしまうと、落とした場所によっては粉々になってしまうことがありますので、その場合は残念ですが買い替えということになってしまいます。
いかがでしたか?
3回にわたって、弓の毛・弦・松脂といった消耗品について詳しく説明してきました。
葉加瀬アカデミーでは、葉加瀬校長とバイオリンマイスター茂木さんによる松脂の解説を動画でご覧いただけます。ぜひ参考にしてください。
【Lesson01-03-02 松ヤニ】※正会員様はリンクからご覧いただけます
※この記事は、葉加瀬アカデミー専属バイオリニストAyaさんが書いた原稿を、担当者が編集したものです。
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