短音階の詳しい解説
2024.08.21

こんにちは。葉加瀬アカデミー専属バイオリニストのAyaです。

前回のコラムで解説した「長音階」と同じく代表的な音階が「短音階」です。

「短音階ってなんで臨時記号がつくの?」「どうして種類がこんなにあるの?」など、長音階以上に仕組みがいまいち分からないという声を多く聞きます。今回は、短音階の仕組みをご紹介したいと思います。

♪「短音階」とは?

「ド・ド♯(レ♭)・レ・レ♯(ミ♭)・ミ・ファ・ファ♯(ソ♭)・ソ・ソ♯(ラ♭)・ラ・ラ♯(シ♭)・シ」の12種類の高さの音のうち、主音(=曲の中心となる音)と、その音から「全音・半音・全音・全音・半音・全音・全音」の順で進んだ7種類の音を並べたものを言います。半音とは、12の音の隣り合う音同士の距離、全音は半音2つ分の距離のことです。ピアノの鍵盤を思い浮かべると分かりやすいです。

実は、短音階には3つの種類があります。それぞれ、「自然的短音階」「和声的短音階」「旋律的短音階」と呼ばれます。

①自然的短音階(ナチュラルマイナースケール)

「全音・半音・全音・全音・半音・全音・全音」という並びを持つ短音階のことを、「自然的短音階」といいます。

調号(♯や♭)のつかない、「ラ」を主音とするイ短調の例を見てみましょう。
「ラ・シ・ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ」は、主音から「全音・半音・全音・全音・半音・全音・全音」ずつ進んだ自然的短音階の形になっています。

②和声的短音階(ハーモニックマイナースケール)

自然的短音階の7番目の音を半音上げたものを「和声的短音階」といいます。

イ短調で考えると「ラ・シ・ド・レ・ミ・ファ・ソ♯・ラ」という並びになります。アラビアンのような不思議な響きに聴こえますね。なぜ7番目の音だけ半音上がるのでしょうか?

長音階は、主音から「全音・全音・半音・全音・全音・全音・半音」という配列でした。

この時の7番目の音と主音の距離は「半音」です。この半音の距離の音は、主音に向かって上行することで調和する音であるため「導音(どうおん)」と呼ばれます。「導音」を経て主音に落ち着くと言ったら分かりやすいでしょうか。

自然的短音階の7番目と主音との距離は「全音」のため、和声的短音階の7番目を半音上げることで、「導音」の機能を持つ音を作り出しているということになります。

③旋律的短音階(メロディックマイナースケール)

和声的短音階の特徴は、7番目の音が半音上がることでした。半音上がることで6番目と7番目の音が全音+半音の距離ができてしまうため、より自然で無理のない響きになるように、自然的短音階の6番目と7番目の音を半音上げた短音階を、「旋律的短音階」といいます。

イ短調の旋律的短音階は、上行形で「ラ・シ・ド・レ・ミ・ファ♯・ソ♯・ラ」という並びです。

自然的短音階と比較して、6番目と7番目が半音上がり「ファ♯」「ソ♯」になります。

旋律的短音階の下行形は、自然的短音階の形が用いられ、上行形で半音上がった6番目と7番目の音が元に戻ります。

なぜかというと、短音階の7番目を半音上げるのは、自然的短音階にない「導音」を作り出すためでした。導音は、主音に向かって上行していく性質を持っているため、導音がその機能を果たすのは、低い音から高い音へと上行していく場合に限られます。そのため、高い音から低い音へと下行していく際には、導音が必要ありません。

つまり、旋律的短音階の上行形は6、7番目の音が半音上がり、下行形は6、7番目の音が元に戻るということになりますので、忘れないようにしましょう。

よく調和された音階のため、短音階の楽曲のメロディは、旋律的短音階に基づいていることが多くありますので、ぜひ曲で見つけてみてください。


【例】Lesson 01 「希望の風」 (H03-23-01) の16小節目
Dマイナー旋律的短音階(上行形):「レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ♮・ド♯・レ」


いかがでしたか?
短音階の仕組みを理解できると、短調の曲で出てきた臨時記号がなぜ書かれているかなど理解できるようになります。色々な短調の曲を見て、どういう仕組みか考えるととても楽しくなりますよ。

※この記事は、葉加瀬アカデミー専属バイオリニストAyaさんが書いた原稿を、担当者が編集したものです。

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