バイオリンのメンテナンス~自分でできるケアと楽器屋さんでしかできないケア~
2022.05.12

こんにちは。葉加瀬アカデミー専属バイオリニストのAyaです。

皆さんはどのくらいの頻度で楽器屋さんに行っていますか?コロナ禍でなかなか楽器屋さんまで足を運ぶことができない、という方も多くいらっしゃるかもしれませんね。

今回は、自分でできる楽器のケアと楽器屋さんでしかできないケアについて考えてみたいと思います。

【自分でできる楽器のケア】

♪バイオリンを弾いた後
バイオリンを弾いた後にするケアで、大切なポイントが3つあります。

①「松脂がついた弦(弦が白くなっている箇所)」をクロスで優しく拭き取ります。松脂の粉をそのままにしておくと弦が劣化します。弦の劣化を早めますので、決してゴシゴシこすることのないようにしてください。

②クロスの松脂を拭いた面とは違う面(または別のクロス)で、指板や楽器本体についた指紋や汗を拭き取ります。夏場など暑い時には汗をかくと思いますが、汗をそのままにしておくと汗の部分が跡になってしまうことがあるので気をつけてください。

③いつもより楽器の鳴りが悪かったり「ジーン」と共鳴したり何か違和感があったら、指の第2関節部分を使って楽器本体の表板と裏板の周りを軽くノックしてみてください。その際に鈍い音(誰でも分かります)がしたら、楽器本体の接着面が剥がれている可能性が高いので、楽器屋さんに見てもらってください。

♪駒の位置のチェック
G、D、A線の調弦時はペグを回すことによってペグ方向へ、E線の調弦時はアジャスターを回すことがほとんどなのでアジャスター側に引っ張られて、駒が傾いてしまいます。それをそのままにしておくと、駒が倒れたり歪んでしまうことがあります。歪むことは結構な確率でありますので、こまめなチェックが必要です。

駒がちゃんと定位置にあるか(駒はf字孔の内側の切れ込み部分に立てます)、まっすぐ立っているかを、楽器を弾く度にチェックすることをオススメします。

真横から見て、テールピース側の駒の面が表板に対して垂直(90度)に立っている状態が正しい駒の立ち方です。直すのがまだ自信のない方は、遠慮なく楽器屋さんや習っている先生にお願いするといいと思います。

駒の調整の仕方ですが、楽器を足に挟んで両手の親指と人差し指で駒の中央部を持って正しい位置に変えます。駒の位置を変えるとチューニングが若干狂うので、チューニングも忘れないようにしてください。

♪弦の張り替え時期と張り替える時の注意
「調弦の時になかなか合わない・音がこもってきた・弦の色が変色してきた」という症状が出てきたら、弦を替えることをオススメします。あまり弾かない方でも1年に1度は変えることをお勧めします。ついつい「いつ替えたっけ?」と忘れてしまいがちなので、弦と弓の毛の張り替えは同時期に行うことをお勧めします。

弦を替える時は、4本いっぺんに弦を緩めないようにしてください。同時に緩めると楽器本体の中に立っている魂柱が倒れてしまう恐れがありますので、1本ずつ張り替えるようにしましょう。

【楽器屋さんでしかできないメンテナンス】

♪弓の毛替え
どんなに松脂をつけても弓が弦にひっかからなくなった時や、毛の根本が黒ずんできた時が毛替えの目安です。初心者の方だと、だいたい1年〜1年半を目安に替えましょう。弓の毛は自分では替えられないので、楽器屋さんに依頼してください。

♪弓のヘッド部分の修理
弓先部分のことです。ヘッド部分に貼ってあるチップはプラスチック素材が多く、ちょっとした振動で割れてしまうことがあります。自分では直すことができません。またプラスチック素材のものを自分で貼ってしまう方もいるようですが、修理に持っていきましょう。

♪魂柱が倒れてしまった時や、魂柱の位置を調整して音を柔らかくしたい・音量を出したい時
魂柱は板の間に挟まっているだけなので、倒れてしまうことがあります。倒れると、楽器を動かすとコロコロと音がするのですぐ分かります。特に、弾いている最中やチューニングの時に弦が切れて鈍い音がした場合は、(もし魂柱が倒れていなくても)心配なので楽器屋さんに見てもらうことをお勧めします。

音の調整をしたい時には、魂柱の位置を微調整することで音色が変わってきます。この作業は職人さんしかできませんので、必ず楽器屋さんに頼んでください。自分でやろうとすると楽器を傷つけてしまいます。

♪楽器の中の掃除
数年間ずっと楽器をしまいっぱなしの場合、ほこりが楽器内に入ってしまうことがあります。ほこりがあると雑音が鳴ってしまいます。

楽器内の掃除は、自分でやろうとすると不具合が起こる可能性がありますし、魂柱が倒れてしまう危険性が高いので、楽器屋さんに依頼しましょう。

【弓の毛替え・弦の張り替え・楽器のメンテナンスの頻度】

私のお勧めは1年に1〜2回のペースです。

1年に1度であれば、何月に行うと決めておけば忘れにくいですし、1年に2度であれば、半年に1回のペースなので、乾燥する時期や湿気の多い時期が明けた頃に行えば、楽器の状態もいい状態にしてもらえるのでお勧めです。

いかがでしたか?
楽器屋さんと奏者の関係は、医者と患者の関係に似ていますね。
少しでもいつもと違うと感じたら、どんな小さなことでも楽器屋さんに見てもらうと安心です。「駒の位置が合っているのか分からない」「弓の毛替えはそろそろした方がいいか」など些細なことでも楽器屋さんは親切に対応して下さいます♪

※この記事は、葉加瀬アカデミー専属バイオリニストAyaさんが書いた原稿を、担当者が編集したものです。

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